十勝を愛する気持ちが仕事の原動力【Cafe Kringel（クリンゲル）】

北海道を離れたからこそ実感した、「地域のために仕事がしたい」という思い。小林さんにとってそれを実現させる場所は十勝でした。とっておきの料理と、温かい接客で今日もお客様を迎えています。

苫小牧市出身の小林さんは、札幌の大学で経営や経済について学んだ後、帯広に本社を構える企業に就職しました。その会社は全国各地で多種多様な事業を展開しているため、さまざまな経験を積むことができたと言います。「東京と帯広で、宿泊施設や飲食店などの仕事に携わりました」。東京でホテルのスタッフとして起用され程なくして、コロナ禍に見舞われるという経験も。「思うようにお客様を迎えることができず、歯がゆい思いをしました」と振り返ります。北海道から離れて仕事をする日々の中で、小林さんに芽生えた思いは、「地域のためになることがしたい」ということ。「自分の中で『地域のために』といえば、十勝でした。いつしか十勝は自分にとって大好きな存在になっていたんです」。

その後帯広の飲食部門に異動となり、忙しくも充実した日々を送っていましたが、ある時環境を変えることを決断。これまで以上に地域と密接につながることができる仕事を探しはじめます。そんな時に声を掛けてくれたのは、当店の店長である野澤まどかさんでした。「店長は10年来の友人で、普段からSNSを通じて楽しんで仕事をする姿に刺激をもらっていました」。新しくオープンするカフェ クリンゲルを一緒に支えるスタッフとして誘われ、共に働くことを決めた小林さん。新しい環境での挑戦が始まりました。

当店を運営する「めむろプラニング」は、1970年の創業以来、仕出しや焼肉店、保育所の給食調理など、さまざまな事業を手掛けています。また、年に数回カフェと隣接する敷地で「ちいさな森のマルシェ」と呼ばれるイベントも開催しており、毎回20店舗程が集まって買い物やワークショップなどの体験の場を提供。「カフェだけでなく、地域の皆さんの交流や思い出づくりの役割を担う場所だと実感しています」と話します。「地域につながることができる仕事がしたい」と考えていた小林さんにぴったりの職場です。

仕事はカフェの調理とホールに加え、隣接する仕出し部門の調理も担当。予約が重なった日は朝5時に出勤し、200個程の仕出し弁当の調理や盛り付けを行います。「前職ではフランチャイズの飲食店で働いていたので、特に衛生管理についての知識を生かすことができました。調理については、料理長の技を学んでいる最中です」。カフェ部門ではホール業務も担当しており、お客様とのコミュニケーションも楽しんでいるそう。「過去にはお客様の声から新しいメニューができて、それが人気メニューになりました。近い距離でお客様と接することができるのがここの特徴だと思います」。

この仕事のやりがいについて「自分たちで考えたことを、自分たちで形にできること」と話してくれた小林さん。内装やインテリアの工夫、メニューの考案など、他のスタッフたちと一緒に取り組んできたことが着実に実を結び、四季折々の景色を眺め、心地よく過ごすことのできる場所として、ファンも着実に増えているようです。更に今後もやりたいことがたくさんあると言い、「個人としては、調理師免許を取って仕出しの仕事に役立てたいです。カフェは、イベントなどお店を知ってもらうための取り組みを続けて、もっとたくさんの方に来ていただけるお店になれたら」と、その先を見据えます。

「十勝の自然も食べ物も人も大好きなので、これからもここでの暮らしや仕事を楽しみながら、地域のためにできることを続けていきたいです」。十勝を愛する気持ちこそが、小林さんの仕事の原動力になっているのかもしれません。