父の味を超えるすしを握り、多くの人に喜ばれる職人を目指したい【回転ずし 羽衣亭芽室店】

「父のようなすし職人になりたい」と回転ずし店に就職した松本さん。最初は仕事をなかなか覚えられませんでしたが、先輩のサポートと努力で乗り越えました。お客様に「おいしい」と喜ばれる味を目指し、今も毎日努力を続けています。

「父が回転ずしの職人をしていて、小さいころから家族でおすしを味わう機会が多かったんです。父みたいなすしを握る職人になりたくて、調理師専門学校へ進学しました」と話す松本さん。卒業後は回転ずしの羽衣亭に就職し、自宅から近かった札内店に配属されました。しかし、学校で調理の基礎は学んだものの、すしの握り方までは教えてくれません。「最初は上司に言われたことしかできず、毎日のように注意されていましたね」。仕事の流れが把握できなかったため、次にどう動けばいいのか戸惑う日々が続き、つらい思いもあったと言います。「でも辞めなかったのは、厳しくも優しい先輩がそばにいたからです。仕事が覚えられない自分に寄り添い、できるまで面倒を見てくれました」と先輩に感謝しています。

毎日とにかく一生懸命メモを取って頭にたたき込み、分からないことは分かるまで何回も先輩に聞いていたそうです。「諦めずに続けよう。親身になってくれる先輩もいるし、ここなら働ける」と思い始め、前向きな気持ちに切り替えることができました。

毎日努力を重ねて業務の流れをつかみ、スムーズに仕事ができるようになったのは、入社から約3年後のことでした。主な担当業務は、職人として回転するレーンの中に立ち、注文を受けてすしを握る仕事です。「常連のお客様から、食後に『おいしかった』『ありがとう』と言われるとうれしかったですね。つらいこともあったけど、ここまで頑張って良かったと改めて感じました」。また、ちょうどそのころ、父親が店に来て自分が握ったすしを食べてくれたと言い、「おいしかったよ」という父の一言も励みになったと振り返ります。「自分が握って提供するすしを目の前で食べてもらって、すぐに感想をいただけるのが、この仕事の魅力の一つです。笑顔で『おいしい』と言われるとやりがいを感じますし、もっとおいしさを追求したいと思えます」と、お客様とのやり取りが日々のモチベーションアップにつながっているようです。

2年前に札内店から芽室店に異動し、すしを握る他、厨房の清掃や食器洗いも担当しています。新型コロナウイルスに加えインフルエンザも流行する中、感染症対策には特に気を使っているとのこと。マスク着用はもちろん、お客様に安心して召し上がっていただくためにも消毒、清掃など衛生面への配慮を欠かしません。

当店はスタッフ同士の仲が良く、休日は一緒に趣味のオンラインゲームを楽しむ他、店が忙しい時もチームワークの良さで乗り切る職場環境だと言い、「働きやすいですね」と笑顔を見せる松本さん。今後の目標を聞くと、「まずは更においしいすしを握ること」ときっぱり。日ごろからすし作りで心掛けているのは、シャリの握り方だと話します。「シャリは手で転がすように持ち、力加減に気を付けて握ります。どれだけふわっとした状態にするかが大切で、口の中でほどけるようなシャリを常に意識していますね」。

ここ数年、感染予防のために外出は控えていますが、時々他の回転ずし店に出掛け、情報収集をしているそうです。季節や魚種によってもネタの脂や水分の量が違うため、ネタとシャリの状態やバランスの研究に力を入れています。「父親はライバル店で今もすしを握っています。まだまだ父には勝てません。これからも勉強して父を上回る技を身に付けたいです」と、父親を目標にスキルを磨きます。より多くのお客様に喜ばれるすしを目指し、毎日努力を続ける松本さんでした。