地域密着の書店として魅力ある売り場づくりを【ザ・本屋さん 白樺コロニー店】

コロナ禍での就職活動の苦労を経て、あこがれだった本に携わる仕事に就いた平さん。常に新しい本に触れられる環境で、ぐんぐん成長中です。

幼いころから本を読むことが好きで、本に携わる仕事に就きたいと思っていた平さん。入学した短期大学では図書館司書の資格を取得し、夢に向かって一歩一歩進んでいました。しかし、就職活動時期がコロナ禍と重なり、就職活動を取り巻く環境が一変。「本に携われる求人がほとんどなく苦労しました」。そんな平さんに手を差し伸べたのは、学校の就職支援を担当する職員でした。「職員の方がザ・本屋さんの髙橋社長と知り合いだったため、求人の問い合わせをしてもらい面接を受けられることになりました」。面接では、社長と好きなジャンルの本や作家について話をするなど、書店ならではの内容で楽しい時間を過ごしたといいます。その後、無事内定をもらい、2021年4月に入社。白樺コロニー店へ配属されました。

入社後は先輩社員に教わりながら仕事を一つひとつ覚えていきました。本の流通経路や本を勧める際のノウハウなど業界ならではの知識や、新刊の品出し、定期購読の対応、雑誌の返品作業など、来店者と接する以外の業務もさまざま。「当社はベテランの先輩が多く、日々学ぶことが多いです」。少数精鋭の従業員たちが連携を密にとって仕事に取り組んでいます。

当社は昭和47年に創業。十勝管内に4店舗、室蘭市に1店舗を運営し、地域に密着した書店として幅広い世代に親しまれています。「何度か店員さんに本を調べてもらうサービスを利用したことがあり、コミュニケーションを大事にしている書店という印象を持っていました」と、入社前に抱いていた当店のイメージを話す平さん。入社後はそのイメージがより強まったと言います。その一つが、地元企業とのコラボレーションの数々。「当店の本棚は十勝産の木材を使用し、地元企業と連携して製作をしています」。また、音更OK店のオープン時には、地元パン屋とのコラボ商品のパンを店頭販売したり、地元の出版社と共同で写真集を発行するなど、業界を超えた連携を積極的に行っています。平さんも日々販売員として仕事をする中で、当社が目指す地域密着のイメージを大切にしながら接客を行っています。「お客様との直接のコミュニケーションはもちろん、店内の装飾などを通して本の楽しさを伝えていきたいです」。リアル店舗ならではの本との出合いを提供し、本に親しむ人たちが増えるようにと、今後も取り組みは続きます。

本を身近に感じながら念願の書店員として働く平さん。大変なことを尋ねてみると、「商品の検索作業」という答えが返ってきました。在庫の有無はデータを検索すると明らかになりますが、店内での本探しは記憶力に頼らなければいけないことが多いのが現状。本の場所を尋ねられた時に、極力時間をかけずに案内できるようになるのが目標だと言います。「本を探しているお客様に『ありがとう』と感謝されるとうれしいです。これからはオールジャンルの本に対応するために商品知識を身に付けて、更に良い接客ができるようになりたいです」とその先を見据えます。

現在はクリスマスシーズンに入り、プレゼント向けに児童書を求める来店客でにぎわっています。「新刊の品出しや売り場のメンテナンス作業が好きです。お客様からの視点を想像しながら売り場を考えるのはワクワクします」。魅力ある店内レイアウトにするために、季節感やトレンドを大切にした売り場づくりに余念がありません。

暮らしのすぐそばにある町の本屋さん。今後も地域の読書文化を創造するため、平さんのような若い世代の活躍が期待されます。