おいしい焼き立てパンを子どもたちに届ける仕事【有限会社林製パン工場】
2023年10月23日公開
自宅から近いという理由から偶然選んだパン製造の仕事。パンづくりの魅力と難しさを知り、更なるスキルアップを目指して経験を重ねています。
製造部/長崎太洋さん(22歳)
帯広市出身。2021年9月に入社。製造スタッフとして、十勝管内の学校給食や高校の購買で販売されるパンを製造している。
未経験からパン作りの仕事にチャレンジ
高校3年生の進路選択時に札幌の専門学校への進学を決めた長崎さん。栄養士の資格取得が目指せるという点に興味を持ち選んだ学校でした。合格が決まり高校卒業を控えるころ、新型コロナウイルスで北海道に緊急事態宣言が発出され、入学する4月を迎えても警戒は続きました。「オンライン授業と課題提出がない授業が数カ月続き、思ったような学生生活が送れなかったことが残念でした」と振り返ります。2年生に進級してすぐのころ、社会人としての一歩を踏み出すという大きな決断をした長崎さんは、専門学校を退学。帯広へUターンし、仕事探しを始めました。求人サイトや、紙媒体など幅広く情報収集を行う中で目に留まったのは「林製パン工場」の求人。「当時は車の免許をまだ取っていなかったので、歩いてでも通える距離にある工場がどんな所なのかと興味が湧きました」。その後工場見学や社長との面接を経て、製造部の一員として迎え入れられた長崎さん。
入社後は一つひとつの製品に応じた作り方を先輩たちに教わり、できる仕事の幅を増やしていきます。「未経験のため最初は分からないことばかりでしたが、繰り返し作ることで出来上がりまでの工程がつかめてからは、仕事をスムーズに進められるようになりました」。現在は、その日の製造計画に沿ってスピーディーにトッピングや窯焼き、袋詰めなどを従業員たちと協力して行っています。
スピーディーな仕事で焼き立てのおいしさを届けたい
当社は昭和22年に創業した歴史の長いパン工場。帯広市や音更町、遠くは足寄町や広尾町などの小・中学校の給食用のパンを手掛けており、多くの子どもたちの記憶に思い出の味として刻まれています。1日に焼き上げるパンは曜日によって個数が変わり、多い時で約8000個。その数を製造するため、小規模のパン屋では見られない大型の設備を備えているのも特徴です。帯広近郊の学校には、朝焼き立てのパンをその日の給食に提供するとあって、朝は特に時間との戦い。その他にも、十勝管内の高校の購買で販売されるパンや、隣接する「手作りパンのコルバ」のオープンに合わせて20〜30種類のパンをチームワーク良く焼き上げていきます。「僕は早い日で朝4時に出社していますが、更に早い時間から製造は始まっています」と、出社時間の早さはパン製造業ならでは。異業種で働く友人たちと生活サイクルが異なるため、時には退社後すぐの明るいうちに睡眠を取り、夜友人たちと過ごす時間を確保するなど、プライベートの時間も充実させています。
資格取得を目指して更なるキャリアアップを
学生から一転社会人として新しい環境に身を置き、パン作りの経験を積む長崎さん。「職場の人たちにも恵まれていて、和気あいあいとした居心地のよい雰囲気です」と、働きやすい環境がモチベーションアップにもつながっています。また、更なるキャリアアップを目指し「パン製造技能士」の資格取得という新たな目標も生まれました。「今後は資格試験の勉強をしながら、もっと知識や技術を習得していきたいです」。
9月で入社から丸2年が経ち、日々納得できるパンを作るために力を注ぐ長崎さん。「例えば湿度によって発酵のタイミングが変わると焼き上がりにも影響するため、マニュアルだけではない経験による感覚を身に付けたいです」。自宅の近くにあったという理由から偶然巡り合ったこの職場。現在の長崎さんにとって、自らを成長させてくれるかけがえのない存在になりました。
十勝産小麦や地元の食材を用いたパンづくりを積極的に行っている
早い日は朝4時に出社をし、計画に沿って製造を行う
朝焼き立てのパンが、帯広市や音更町の給食に提供される
十勝産食材のおいしさを地域の子どもたちに届けたい
代表取締役/林 隆義さん
衛生面はもちろんのこと、従業員が働きやすい職場環境を整えて、安心安全なパンをお届けできるよう努めています。学校給食用のパンは、各地域の栄養士さんと相談を密に行い、地元食材のおいしさが伝わる製品づくりを心掛けています。今後も味を守ると同時に、新商品づくりに積極的に挑戦していきたいです。
有限会社林製パン工場
昭和22年創業。帯広で唯一学校給食や高校の購買で提供されるパンを製造する工場。同敷地内では、「手作りパンのコルバ」を運営している。
北海道帯広市西17条南1丁目16‐5
TEL.0155‐33‐5585
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