十勝の食材に付加価値を付けて全国へ届けたい【有限会社木川商店】

コロッケやメンチカツを製造し、全国に販売する幕別町の木川商店。初めて高校の新卒として迎え入れられた久保さんは、製造の仕事を中心に、時には接客、時にはデザインとさまざまな業務に挑戦しています。

小さなころから手先が器用で、絵を描くことやものづくりが好きだったという久保さんは、食品製造について学ぶことができる高校へ進学しました。「食品衛生についての授業の他、アイスクリームやヨーグルトを製造したのが思い出深いです」と振り返ります。高校3年生になり求人票が学校に寄せられる中、久保さんはどの企業に就職をするか迷っていました。「食に関わる仕事がしたいという希望はありましたが、働きたい職場のイメージが湧いていませんでした」。そんな時学校の先生に「木川商店」を勧められたことがきっかけで、当社に職場見学へ行くことに。「住んでいる地域から離れているため、当時は名前も知りませんでしたが、工場見学の時に試食させてもらった揚げたてのコロッケのおいしさに感動したのを覚えています」。和気あいあいとした雰囲気で楽しそうに働く従業員の姿を見たことが決め手となり、就職を希望したという久保さん。面接に加え、与えられたテーマで作文を提出し、当社にとって初めて高校の新卒社員として迎えられました。

昭和初期から幕別町で営業を続け、地場を支える商店として長年愛され続けた当社では、酒類や冷凍食品などを販売しています。町内のイベントで販売した手作りコロッケが評判を得たことがきっかけとなり、2014年からは本格的にコロッケの製造・販売を開始。全国の物産展やインターネット販売などを通じてそのおいしさを全国に届けています。

久保さんは製造部に配属され、工場のルールや、コロッケやメンチカツの作り方について一つひとつ教わりました。加工するじゃがいもの状態は常に均質ではないため、コロッケのタネを作る際には素材を見極め、経験を頼りに機械を微調整する必要が生じます。「手作りの工程も多く、コツをつかむまでに少し時間が必要でしたが、今では柔軟に対応できるようになってきました」と話します。「特にパン粉を付ける工程が好きです。一つでも多く製造するために、工夫しながら素早い仕事を心掛けています」と、日々の仕事に目標を持ち、技術の向上にも余念がありません。9月以降は東京、大阪、広島などの百貨店で開かれる北海道物産展の予定が目白押し。そこで販売される8万個あまりのコロッケを準備するため、チームワーク良く仕事を進めています。

好きだった食に関わる仕事に就き、持ち前の器用さで手作りのおいしさを届ける久保さん。製造の業務以外にも、地元のイベントに出店する際にはレジなどの接客も行い、直接購入者の反応を知ることで刺激を受けています。「イベントの時に着用するTシャツのデザインも任せていただきました。自分の好きなことを仕事に生かすことができて楽しいです」と、入社当時は想像もしていなかったさまざまな業務の経験が、久保さんを大きく成長させています。「製造の仕事が好きなので、いつか製造部門をすべて把握し、管理できる人になれるように頑張りたいです」と目標は明確です。製造の知識と技術の向上に努めつつ、新しいことへ前向きにチャレンジする久保さん。これからも自分の強みを発揮しながら、周囲と楽しく仕事を続けていくことでしょう。