心を込めて焼き上げた自慢のシフォンケーキでお客様を笑顔にしたい【マルシェ山花】

力仕事から清掃、接客業までさまざまな仕事を経験してきた沢木さん。前向きに人生を楽しむ中で本当にやりたい仕事と巡り合い充実した日々を送っています。

沢木さんは幼いころからずっと美容師になりたいと思っていました。夢をかなえるため美容学校に進学しましたが、次第に現実とのギャップに戸惑いを感じ始めます。ちょうどそのころ、ケーキ店でのアルバイト経験を機にお菓子作りに目覚め、恋人に手作りのケーキや焼き菓子をプレゼントするようになりました。「喜ぶ顔を見るのがうれしくて、よく作っていましたね。それ以来、お菓子作りは生活の一部になりました」。

美容学校を卒業後、悩んだ末に別の道に進むことにした沢木さんが就いた仕事は、解体業でした。コンクリートを削ったり重い物を運んだりするハードな仕事でしたが、早朝から男性に負けじと働いたと言います。「若かったので今よりパワーがありました。体はきつかったけれど楽しい仕事でしたね」。2年ほどその仕事を続けた後、マンションの清掃、雑貨店や居酒屋、コンビニの店員などを経て、今の仕事に就いたのは大好きなお菓子作りがきっかけでした。

「結婚して子どものためにケーキを焼く機会が増え、やっぱり自分はお菓子作りが好きだと改めて思ったんです」と沢木さん。焼き立てのシフォンケーキを提供するマルシェ山花で働きたいと思い立ち、行動に移します。実は沢木さんは以前に一度、同店でパート勤めをしたことがありました。「山花の環境も好きだし、前に働いた時もとても楽しかったので、求人をしていたわけでもありませんが思い切って『働かせてください』とお願いしたんです」。技術も経験も豊富な沢木さんの申し出に、オーナーも「ぜひ店を盛り上げてほしい」と快諾。店長として働き始め、今年で5年目を迎えました。

同店は、地元の新鮮野菜やソフトクリーム、シフォンケーキが人気です。釧路市動物園からほど近いこともあり、家族連れやドライブがてら訪れるお客様でにぎわっています。沢木さんの仕事はシフォンケーキ製造から新商品の開発、仕入れなど幅広く、特にシフォンケーキは、季節ごとのフレーバーを取り入れたり新しいレシピを考案したりと、日々研究を重ねています。

試作品を作るたびにスタッフと試食会を開くのですが、驚いたことに沢木さん自身は甘い物が苦手なのだそう。「自分は味の確認だけですが、スタッフは毎回喜んで試食してくれます。新しいレシピを思いつくと、いつもスタッフから『シフォンの神様が降りてきたね』と言われるのですが、本当になんでもない時にふと浮かぶことが多いです」。夕食の準備中や奇麗な景色を見た時など、アイデアがわくたびにメモを取り、すぐ試作に取り掛かるそうです。「思い立つとやらずにいられない性格なんです」と笑う沢木さんですが、その行動力がおいしいシフォンケーキを生み出す秘密かもしれません。

そんな沢木さんが大切にしているのは、笑顔。「お客様の笑顔に接すると何よりうれしいですし、自分自身も笑顔で過ごすことを心掛けています。お客様が喜んでくださると『頑張るぞ！』という気持ちになりますね」。

仕事へのモチベーションを保つために、自己肯定感を上げることも欠かせないと言います。「自分で自分を心の中で褒めています。『あなたならできる』『次は大丈夫』と、自分を認めて励ますことで前向きになれますね」。輝く女性にスポットを当てるFMくしろの番組コーナー「ウーマンデイ！」（4月25日放送）に出演した際も、ポジティブな沢木さんの魅力があふれていました。

「お客様の笑顔やSNSのコメントなど、ちょっとした出来事が毎日を明るくしてくれます。好きなケーキを焼いて、お客様に喜んでもらえて、今は毎日が夢のようですね」と語る沢木さん。ライフワークのお菓子作りを通してお客様を笑顔にする沢木さんの生き方には、人生を楽しむためのヒントがぎゅっと詰まっていました。