私が選んだ職場【道南ハイヤー株式会社】

小さなころから乗り物好きで、いつかは運転手という職業に就きたいと考えていた藤﨑さん。友人からの誘いをきっかけに飛び込んだタクシー会社での業務は、想像以上に楽しい世界でした。

小さなころから乗り物が大好きだった藤﨑さんは、16歳で原付免許、18歳で自動車の普通免許を取得。その後も40代で自動二輪の免許を取るなど乗り物好きの熱は冷めず、時間の許す限りドライブやツーリングを楽しんでいました。「運転してどこかに行くことが好きで、いつかは好きなことを仕事にしたいと思っていましたね」。そんなある日、道南ハイヤーで働く友人から、「運転手を募集しているけど働いてみないか」と声を掛けられます。以前からあこがれていた職業でしたが、実際に働くとなると話はそう単純ではありません。「お客様を見つけられるのか、指定された場所までちゃんとお送りできるのかなど、心配で少しためらいました。ただ、友人が働いているので安心感もありましたし、年齢を重ねても長く続けられる仕事だと聞いて挑戦しようと決めました」。

入社後はまず、10日間の研修プログラムを受けます。運転に関する法規の他、タクシーの待機所ごとに決められているルールについて勉強。同時に、無線機器やタクシーメーター、クレジットカードや電子マネーによる決算方法なども覚えなくてはならず、最初は大変だったそうです。「習うより慣れよという部分が多いですね。機械の操作はすぐに慣れていきましたし、待機所でも、最初は先輩たちがいる中に新人の自分が入っていってもいいのか戸惑いましたが、2、3回繰り返すとそこでのルールが分かってくるんです」。
一方、接客については現在でも完璧ではないと言います。新店舗や閉店したお店の情報など、お客様からの話を聞いて初めて知ることも多く、目的地のルートも「こっちの方が近道だよ」と教えていただき初めて通る道もあったり、今も日々の勤務の中で新しいルートを覚え続けているそうです。「上司からも、研修は2割程度。残りはお客様に育てていただくものだと教わりました。全くその通りで、もうこれで完璧というゴールは運転手の仕事にはないと思いますね」。

現在は観光班に所属し、北海道内外から訪れる旅行者を中心に乗務している藤﨑さんですが、ご案内の際には、函館らしさを意識すると同時に、お客様の希望に沿った場所を選ぶことを心掛けているそうです。「隠れたスポットを好む方には自分がよく行くお店を紹介したり、高齢者の方には味付けが薄めのお店を選ぶなど、お客様のニーズに合わせたお店をご案内しています。」そのためにも、車内での会話は重要で、接客業時代に培った会話の経験が役に立っているとのこと。お客様との会話はいつも新鮮で楽しく、時には話に夢中になって、うっかり目的地を通り過ぎてしまうこともあるとか。もちろんそんな時には隠したりせず、正直に話すことが大事だと言います。
入社して6年、あこがれていたタクシードライバーの世界は思っていた以上にやりがいがあり、今でも常に楽しみながら勤務できるのは、いつでもお客様と接しているお陰。そんなお客様に少しでも喜んでもらえればと、数年前には、函館商工会議所が制定する「はこだて検定」を取得。更に北海道観光マスターの資格を持つ先輩ドライバーとペアで業務に当たる時には、知識だけでなく言い回しや間の取り方を参考にして、自分の案内スタイルに取り入れているそうです。コロナ禍が落ち着き、マスクなしで楽しむお客様の笑顔を思い浮かべながら、今日も藤﨑さんは自分磨きに余念がありません。