得意なことを生かした創意工夫で世界中から来るお客様をおもてなし【函館真昆布本舗 道の駅なとわ・えさん店 てつまるナトワショップカフェ】

短大時代に栄養士の勉強をしていた三浦さん。カロリー計算など細かい作業が苦手で自分には向いていないと早々と進路を変更。サービス業界で経験を積む中、お客様をお迎えする接客の仕事に大きなやりがいを感じていきます。

短大を卒業後、訪問販売と飲食店のホールスタッフとして働いてきた三浦さんは、義理の母から、友人の土産物店で働いてみないかと持ち掛けられました。「店があるのは祖母が住んでいた地域の道の駅で、格別な思いのある場所でした。好きな接客業という条件も重なっていたので、ぜひ働いてみたいと先方に連絡しました」。

面接ではこれまでどのような職場で働いてきたかを説明し、お客様と接することが好きであることをアピール。その日のうちに採用が決まり、翌週には海産物を中心とした土産物と小さなカフェを併設した「てつまるナトワショップカフェ」のスタッフとして働き始めました。

三浦さんが担当したのは、レジでお客様の対応をする販売員としてのお仕事。勤務初日は、同ショップの名物でもあるソフトクリームを作る練習から始まったそうです。「レバーを手で操作するソフトクリームの機械は使用したことがありましたが、当店の機械はペダル式だったんです。なかなかコツがつかめず、1、2週間練習を重ねてようやく慣れました」。

続いて担当した業務は、納品された商品を店頭に並べる品出し作業。単に並べるだけでなく、賞味期限を確認する「先入れ、先出し」の並べ方を教わったそうです。「陳列の基本は『先入れ、先出し』ですが、商品によっては『先入れ、後出し』にして、より鮮度の良い商品をお客様が取りやすいように並べます」。

また、商品については、どのような特徴があるか把握しておくことも必要だと言います。「製造元のホームページで調べたり、オーナーがお客様に説明する様子を見て勉強しています。できる人のまねをするのがスキルアップへの近道だと過去の職場で学び、この職場でも実践しています」。

接客時にはお客様と目線の高さを合わせるのが基本。話し方についても、年配の方には聞き取りやすさに配慮してゆっくりと話し、小さな子どもであれば理解しやすい言葉遣いを心掛けて接しているとのこと。こうした心得は、学生時代にインターン先で先輩から教わったことや、社会人になってから勤めた職場で学んだことがベースになっていて、現在の仕事にも応用しているそうです。

同店に勤務してもうすぐ丸2年。地元のお客様に加えて、旅行中に立ち寄る方も多く、いろいろな人と接することができるのがこの職場の魅力と感じています。「旅行者から『ありがとう。また来るからね」と言われるのがとてもうれしいですね。常連のお客様からは『辞めないでね』と声を掛けられることもあるんですよ。こうした声を聞くだけで力がわいて頑張れます」。

三浦さんは現在、広報主任としても活躍し、情報誌などの取材対応だけでなく、自らSNSを使って商品情報を発信しています。今後は動画配信サイトの活用も検討中なのだそう。「今後、インターネット販売も検討していて、世界に向けて配信すれば、世界中から簡単に問い合わせできるようになります。どんな反応が届くか楽しみですね」。

更に、イラストや商品のポップを書くのも大好きで、地域の特産品である昆布をモデルにしたキャラクターを作成。店内のポップに登場させるだけでなく、Tシャツなどオリジナルグッズとして商品化して販売するなど一人何役もこなす活躍ぶりです。「自分の好きなことを業務に生かすことができて毎日が楽しいです。ここでの仕事は私の天職ですね」。幼少期に祖母から「人には優しく接し、大切にしなさい」と言われて育ったという三浦さん。その言葉を実践し、相手を思いやる気持ちがにじみ出る彼女の対応に、多くのお客さんが笑顔でお店を後にしていました。