私が選んだ職場【ダーツ＆ボードゲームバー BULL LABO（ブルラボ）】

海外で新たな事業を始めようと準備を進めていた武田さん。現地で学校を開校し、事業を始めた直後、新型コロナウイルスが世界的に拡大し渡航できずにやむなく断念。知人を頼って働き始めた職場で、新たな目標を見つけます。

函館市内の高校で教員として働き、野球部の監督を務めていた武田さんは、教員歴10年目の春に、新たなビジネスを始めようと思い立ちます。「指導者として頑張ってきましたが、10年間やって甲子園に行けなかったらきっぱりと辞めて、学生時代から興味を持っていたビジネスの道に進もうと決めていたんです」。周囲から惜しまれながらも教員を辞職。かねて計画していたバーを開業し、経営者としての第一歩を踏み出しました。
バーテンダー業務を通して毎日のように新しい人と出会える環境は新鮮そのもの。人と交流することが好きな性格も幸いし、人脈を広げていく中、海外に拠点を置いた新たなビジネスの構想が生まれ準備に取り掛かります。「ミャンマーで日本語学校の設立を進めていました。バーを閉業し、現地に学校を開校。日本とミャンマーを行き来し始めた直後、コロナ感染が拡大してしまったんです」。想定外のハプニングに戸惑いつつも気持ちを切り替え、親交のあった株式会社ニュー糸平の社長にアルバイトをさせてほしいと申し出て、快く承諾してもらいます。一向に収束のめどが立たない状況で、社長のアドバイスを受けて海外での事業を断念することを決断。週に数日のアルバイトではなく、本腰を入れて働くことにします。

3カ月の試用期間中、グループ内の4つの飲食店で実務経験を積んだ武田さんは、同社が新たに展開する店舗「BULL LABO」の運営を担うことになります。社長と共に店のコンセプトづくりから関わり、30分単位で課金される料金システムを設定した他、看板メニューの「ハコダテケバブ」を開発。接客面についても、バーテンダー時代のノウハウを生かし、「お客様を楽しませる」を基本コンセプトとした店づくりを進めていきます。「私自身、バーでお酒を飲んで楽しむのが好きなので、自分が描く、理想の接客の提供を意識しています。次もこの店に来ようと思ってもらうのが大事ですね」。
延長するお客様や、短時間で帰ってしまうお客様がいた場合には、状況から要因を分析。常に修正を行いながらサービスの向上に努めているそうです。

オープンから4カ月。「リピーターのお客様も増えて幸先のよいスタートを切ることができましたが、まだまだ新しいお客様の獲得が必要です」と武田さんは話します。お客様がドアを開けて入ってくるのを待つだけでは駄目という社長の言葉を思い出しては、店頭に立ち、通りかかる人にチラシを配ったり、店内の様子を動画配信するなど、来店のきっかけづくりに努力を惜しみません。
そんな武田さんの次の目標は、1年以内に2店舗目をオープンさせること。将来は少なくとももう1軒お店を増やし、フランチャイズ化して自ら経営にも関わっていく、というビジョンを描いています。現在はその実現のために、経営者としての社長の考え方を吸収することに努めているとのこと。自分が社長を見て憧れたように、自分みたいになりたいと言ってもらえる経営者になるため、武田さんのビジネスへの挑戦はまだまだ続きます。