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私が選んだ職場【福田農園】

2021年10月11日公開

私が選んだ職場

家族連れでにぎわう遊戯施設から農業の世界に転職した高松さん。慣れない作業による筋肉痛の日々は、育てることの楽しさと収穫の喜びを味わう毎日へと変わっていきます。

半年後の収穫を心待ちにしながら、手塩にかけてキノコを育てる。

統括マネジャー/高松麻美さん
菌床づくりからパック詰めまで作業全般を担当。各地で開催される物産展では、販売員として「王様しいたけ」の魅力を発信する。

日曜日に休暇が欲しくて、気になっていた業種に挑戦。

シイタケの生産農家である有限会社福田農園に高松さんが入社したのは10年前。当時、函館市内の遊戯施設で働いていましたが、ふと転職を考え「シゴトガイド」で職探しを始めたそうです。「お客様で混雑するため、土日はずっと出勤でした。来園者が楽しむ様子を見ていて自分も日曜日に休みたいと思ったんです」。そんなある日、シイタケ栽培のスタッフを募集する求人を発見。「こんな仕事もいいのかも」と、直感的に応募を決めます。
キノコについては食べるのが専門で、キノコ狩りや自家栽培の経験はありませんでした。ただし、函館近郊には生産農家が多く身近に感じていたこともあり、仕事としての興味はずっと持っていたそうです。面接時には汚れる作業や力仕事もあるとの説明を受け、想定内の業務であることを双方で確認。改めて働く意思を伝え、採用が決まりました。
入社後最初の業務は収穫したシイタケのパック詰め。石づき部分をカットし、エアを吹きかけて清掃したシイタケを注文先に合わせて500グラムと1キログラムにパッキング。崩さぬようにラップで包んでいきます。その後は収穫や水やり、栽培を終えた菌床ブロックの片付けなど、ビニールハウス内での作業を少しずつ覚えていきます。

進行状況に合わせて、多様な業務に関わる。

現在高松さんは総括マネジャーとして、休暇スタッフの代役や、人手の足りない業務の助っ人など、ほぼすべての業務を横断的に担当しています。その中でもメインの業務となるのが、キノコの苗床となる菌床ブロックづくりと菌の植え付けです。木を細かく粉砕したチップと米ぬかなどの栄養体を大きなかくはん器に入れ、長方形に成型してから殺菌窯で炊き上げて、二日ほど置いてからシイタケやタモギタケの菌種を入れていきます。
ただし、キノコ栽培にはカビが厳禁。少しでも油断をするとカビが生えてビニールハウス一棟丸ごと全滅させることもあるので、菌床づくりの際には不織布のつなぎとゴム手袋で身を包み、全身をアルコール消毒してから作業するそうです。「部屋も機械もすべて消毒し、無菌状態を保つため窓はなく、外の音も聞こえない環境で数時間単調な作業を繰り返します。誰とも話さない日が続くこともあるので、ある意味、孤独との戦いですね」。
そんな作業の影響か、できあがった菌床ブロックには人一倍愛着が湧くのだとか。しばらく水やりをしていないけど喉が乾いてるんじゃないか、ハウスの中が暑すぎないかなどと心配になるそうで、半年後にシイタケが出てきた時の喜びは格別だと言います。

収穫は時間との戦い。力を合わせて達成する。

収穫は通年行われ、最盛期を迎えるのは気温が低くなる秋以降。全長約40メートルのハウス3棟すべてを朝9時と午後3時の2回、スタッフ全員で回って収穫します。成長の度合いによって収穫するかどうか迷うこともありますが、判断は各自に任せられます。「従業員の間では『後ろを振り向くな』という合言葉があります。あれも採ったほうがよかったかもと一度迷うと、次々に迷ってしまい作業が進みません。収穫は時間との勝負なんですよ」。
成長したキノコはその日のうちに採らないと商品価値が下がってしまうため、時には残業して対応しなくてはならないことも。それでもスタッフ同士助け合いながら一つのことを成し遂げる作業は、充実感もあって楽しいと、この仕事の魅力を語ります。
そして最後にもう一つ大事なポイントとして高松さんが挙げるのが、日々の業務が健康維持に役立っているという意外なメリットです。収穫のために棚の登り降りを繰り返し、菌床の入ったコンテナを運ぶ作業のお陰で、シェイプアップ効果もあるそう。この一石二鳥の作業時間が、今後もますます高松さんを輝かせてくれることでしょう。

  • 菌床ブロックがモチーフのオリジナルキャラ「菌床ちゃん」

  • きのこが出ていないか棚の上段の菌床も漏らさず確認

  • メモリを確認して正確に測り分ける

  • シイタケについたゴミをエアで清掃

  • タモギタケの生育状況を確認して収穫のタイミングをチェック

手を掛けた分だけ、大きな喜びが待っている。

農業の魅力はなんといっても収穫時の喜びです。菌を植え付けてから最低でも半年の時間が必要なキノコ類の栽培は、一般的な野菜のように葉が出るなどの変化がありません。失敗したかもと不安を抱えながらも毎日温度や湿度を管理し、水やりをコツコツと続ける中、ひょっこりと出てきたシイタケを見た時は感動的で興奮します。日々の苦労が報われる瞬間に毎日立ち合える職場ですね。
代表取締役/福田将仁さん

有限会社 福田農園

肉厚で大きく、風味豊かなブランドきのこ「王様しいたけ」を生産販売。2020年にはきのこでは道内初となる有機JAS認証を取得。海外への販売も強化している。

北海道亀田郡七飯町鶴野83
TEL.0138-65-5522
https://k-kinoko.co.jp