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エゾシカの普及を目指しおいしさと扱いやすさを伝える【箱館居酒屋 熾美】

2024年8月12日公開

私が選んだ職場

少年時代の経験を通じて料理と狩猟に興味を持った岩山さんは、シカ肉料理を提供する繁盛店の店長として、八面六臂(ろっぴ)の大活躍。お客様の喜ぶ顔に癒やされつつ、シカ肉普及の伝道師として突き進んでいきます。

店長/岩山翔汰さん(28歳)
函館市出身。料理の勉強をする傍ら、20歳で狩猟免許を取得。自らが猟を行うハンターシェフ。仕事の前に好きなカフェでアーモンドミルク+シナモンパウダーを飲むのが最近のルーティーン。

ハンティングが縁で新規店舗のスタッフに

料理人だった父親の影響を受け、中学生のころから料理人になることを意識し始めたという岩山さんには当時からお気に入りの食材がありました。「父の仕事仲間が狩猟免許を持っていて、自分が仕留めたというエゾシカの肉をたびたび持ってきてくれたんです。シカ肉のおいしさを知り、僕もハンティングにあこがれました」。

料理の専門学校に進学し、卒業後は地元のカフェで働く一方、20歳で狩猟免許を取得。複数の店で料理の腕を磨きながら、ハンターとしての経験も積んでいきました。

2023年1月、フランス料理を学んでいた秋田から帰郷した岩山さんは、以前お世話になっていた解体施設を訪問。そこに出入りする先輩ハンターで、後に「箱館居酒屋熾美」をオープンするオーナーと出会います。「ジビエを使った料理屋を始めたいので一緒にどうかと誘っていただいたんです。いい勉強になると思いお世話になることにしました」。

想定外の人気ぶりにメニューを刷新

その年の4月、函館駅前の繁華街に「箱館居酒屋熾美」がオープンし、岩山さんは店長として働き始めました。「厨房は3人体制です。活魚などを扱う刺し場、サイドメニュー、焼き物の各パートを一人ずつ受け持ち、僕は焼き物を担当しています」。

オープン当初は、通常の居酒屋メニューにエゾシカの串焼きを加えた商品構成でしたが、いざ営業を始めたところ、想定をはるかに超えた数のお客様がシカ肉料理を注文。おいしいシカ肉料理が食べられる店として知られるようになっていきました。「海鮮や和牛は他の店でも食べられるせいなのか、当店ではシカ肉料理に注文が偏ります。新しいメニューを加えると、皆さん『うまい!』と反応し、その様子を見てメニューを増やしていきました」。

もともと、シカ肉のおいしさを広めたいと思っていた岩山さんにとって、こうしたお客様の傾向はむしろ大歓迎。ヒレカツやジンギスカン、ポン酢あえなど、お客様が家庭でまねしやすい料理を提供することで、ジビエ=高級食材というイメージからの脱却を図ろうとメニューを増やしていったそうです。

他店の接客を見て気持ちを切り替える

想定外のシカ肉人気を得て、焼き場を担当する岩山さんの業務は常にフル稼働。観光客の多い場所柄、週末や連休中は尋常ではない忙しさになるそうです。「焼いても焼いても終わりが見えず、へとへとになります。それでも、お客様から『うまかったよ』と言われると、一気に疲れが吹き飛びますね」。

また、仕事への取り組み方にも変化が生まれ、仕込みの時間に好きなジャズを流してノリノリに楽しみながら作業していると言います。「楽しみながらやらないと、料理もおいしくならないですね。ストレスがたまった時にはカフェに行き、どんなに混んでいても笑顔で対応する店員の接客を見て、反省したり、元気をもらったりしています。」。

オープンして2度目の夏を迎えた現在は、「忙しいのが普通だよね」と頭を切り替え、自分が楽しむこととお客様に喜んでもらうことの2点に集中している岩山さん。そんな彼の目標は、シカ肉をかつての活イカのような函館の代表的な食材として広めること。「北海道のエゾシカの中で特においしいのが函館のエゾシカだと思ってもらえるようになったらうれしいですね。今はメニュー開発よりも、おいしい食材であるということをもっと広めていきたいです」。炭火の熱で顔を赤らめながら、笑顔で抱負を語る岩山さんの今後が楽しみです。

  • オーダー用の画面を見ながらお通しメニューを決める

  • メニューに合わせて肉をカット

  • 炭の置き方で火力を調整

  • 厨房を出て顔見知りのお客様にあいさつ

覇気のある対応でお客様をお迎えする

オーナー/旗手弘二さん

ジビエ関係の仕事は店長にすっかり任せています。忙しくても自分なりに楽しんでいる様子ですね。当店のような酒場では、大きな声であいさつができるとお客様ウケも良くなります。厨房にいてもお客様が来たのが分かるので、恥ずかしがらずに実践してもらいたいです。「明るく元気にテキパキと」、これさえできればどこに行っても活躍できますよ。

箱館居酒屋 熾美(おきび)

函館天然エゾシカジビエ「函鹿」を手軽に食べられる店として2023年4月にオープン。オーナー、店長が狩猟のライセンスを持ち、多様なエゾシカ料理が楽しめると評判を呼び、地元のお客様のみならず、海外からの旅行者の姿も目立つ。

北海道函館市松風町6‐14
TEL.0138‐83‐6621
https://hakodateizakaya-okibi.com