おもてなしの心とスパイス料理でお客様をお迎えする【ハッチャギ CURRY BAR】

ホテルマンとして長年働いてきた石田さん。やりがいを感じつつも、徐々に仕事へのモチベーションが下がっていく中、友人の勧めを受けて飲食業界に転職。前職で培った接客力を応用しながら新たな目標を見つけていきます。

函館でホテルマンとして働いていた石田さんは3年前、東京のカレー専門店に転職しました。やりがいを持ってホテルに勤めていたそうですが、「仕事へのモチベーションが下がっていくのを感じていました。そんな時に『東京に出て飲食業界で働いてみたら』と、声を掛けてくれたのが、中高時代の同級生で当時東京で働いていた現在のオーナーでした」。

飲食店での勤務経験がなかった石田さんは、最初はその提案に消極的でした。ところが、数年内に函館で飲食店を始める計画があり、その時に手伝って欲しいと誘われたのをきっかけに、東京行きに心が動いたと言います。「新しいことにチャレンジしたいという思いが、心の隅にずっとありました。キャリアチェンジをするなら30代前半がリミットと自分の中で決めていたので、行くなら今だろうと飲食業界に足を踏み入れる決意をしました」。

その後約2年、東京でホール係の仕事を続けていた石田さんは、オーナーから「地元に戻ってお店を始めるから手伝って欲しい」と改めてスカウトされ函館にUターン。「ハッチャギCURRY BAR」のオープニングスタッフとして働き始めました。

「こちらの店でもホール業務を担当しています。東京での経験もありますし、ホテルマン時代の接客経験も応用できます。人と接することには苦手意識がなく、むしろ好きなことでしたので、割とすんなりスタートできました」。

また、今回は新たに仕込み作業にも挑戦。朝一番に出勤し、ランチで使うサフランライス用の米研ぎや、日替わりのカレーに使う野菜のカット、スパイスの計量などを行なっているそうです。「料理の経験はほとんどないので、仕込みといっても調理のための下準備がほとんどです。単純な作業ですが、計量ミスによって味が大きく変わってしまうこともあるので、極力丁寧に行うことを心掛けています」。

仕込み作業の基本は「ながら作業」。じゃがいもをゆでている間に別のことをするなど、複数の業務を同時に進め、より効率的な手順を考えながら作業しているそうです。

函館に戻ってから丸一年、ホールと仕込みの二刀流で奮闘してきた石田さんですが、どちらの業務にもやりがいを感じているそうです。「提供する料理はもちろんのこと、会話を通じてお客様との関係が深まり、お店のファンが増えるのはうれしいですね。一方、仕込みに関しても任せてもらえる作業が増えることで料理のスキルが向上していくのが分かって励みになります」。

スパイスを扱った手で目尻に触れて散々な目にあったこともありました、と過去の失敗を笑い話のネタにするユーモアも持ち合わせている石田さん。そんな彼の今後の目標は、店のすべての業務がこなせるオールラウンダーになること。「調理全般についても高いレベルで行えるようになれば、オーナーも新たな展開を進めていけるでしょう。場合によっては姉妹店を作って、私が任せられることになるかもしれません」。

オーナーとは折に触れて店の将来像について話し合い、常に未来のビジョンを共有しているとのこと。「今後もお店づくりに参加してるという気持ちでスキルアップに励みたいです」と、厨房とホールを行き来しながら楽しそうに語ってくれました。