カラオケを楽しみに来たお客様をきめ細かい配慮でお迎えする【カラオケMash パボッツ函館店】

将来に備えて貯蓄することを思い立った境さんは、カラオケ店でのダブルワークを開始。初めてづくしの職場で苦戦しながらも徐々に仕事を覚え、新人スタッフを教育するエキスパートへと成長していきます。

警備会社に勤務する境さんは3年前、空いている時間を利用してダブルワークができないかと検討を始めました。「3人目の子どもが生まれたのを機に、将来に備えて貯蓄をしようと思いました。知人に相談して働ける時間と希望する給料を大まかに伝えたところ、本人が働くこちらのカラオケMashパボッツ函館店を紹介してくれたんです」。

面接を受けて首尾よく採用が決定しましたが、実際に働いてみると来店されるお客様で、予想以上に忙しいことに驚いたと言います。「カラオケ店は若いころから利用しており、いつも忙しそうに働く従業員を見ていました。多忙な環境は覚悟していましたが、担当する業務が多く、想像の倍以上に大変だと感じましたね」。

境さんが担当するホール業務は、お客様をお迎えするフロント業務に始まり、ドリンクの準備やフード類を調理する厨房業務、更に配膳や、使用後の部屋の掃除など多岐にわたります。業務ごとにマニュアルが用意されていたものの、いずれも未経験の作業ばかり。これは頑張らないと、と気合を入れ直しました。

個々の業務については先輩たちがしっかりと指導してくれたお陰で、着々と覚えることができたそうです。ただその一方で苦労したのが言葉遣いでした。「当店では『お客さん』ではなく『お客様』と呼び、カラオケルームも部屋番号の後に必ず様を付けるのが決まりになっています。普段使い慣れない言葉でしたので、さん付けで言ってしまうことが多かったですね」。本業での癖が抜けず、働き始めて3年目になる現在も一瞬言いよどんでしまうことがあるとのこと。しっかりと気持ちを切り替えて業務に就くことを意識しているそうです。

また、完成した料理を部屋に届ける「運び業務」も苦労した作業でした。「歌に集中してお届けに来たことに気付かないお客様もいらっしゃいます。しっかりとノックを3回してからドアを開け、『失礼いたします』と一言添え、確認のため商品名を復唱しながらお渡しします」。

商品を渡す時には腰を落とし、雑な印象を与えぬよう音を立てずにテーブルに置きます。トレーから直接取ろうとするお客様や、駆け寄ってくるお子様もいるので、トレーをしっかり押さえてバランスをキープ。業務に慣れていないころにはトレーの上でグラスを転倒させたこともあり、お客様に掛かるのを防ぐため自分に向けて倒したこともあったと言います。

お客様が利用した部屋はすぐに清掃します。テーブルやソファーはもちろん、ドアノブやインターホン、ハンガーなど、人の手が触れる場所はすべてアルコールで消毒。使用頻度の高いタブレットやマイクは特に念入りに掃除します。「次のお客様がお待ちになっているので手早く行うのがベストですが、雑になってはいけません。丁寧な作業を心掛け、拭き残しがないか再度チェックしてから部屋を出ます」。

別のスタッフが清掃を行う場合には、フロントで会計を行います。レジの操作がなかなか覚えられず、境さんの中では一番難しい業務だったそうです。「支払い方法など確認事項が多く、気分の高揚したお客様から話し掛けられるなどバタバタとした中での作業になります。割引クーポンを適用し忘れていないかなど、必ず再チェックしてから決済します」。

すべての業務をマスターするまでに一年ほどの時間を要した境さんでしたが、現在はエキスパートに登用され、新人スタッフの育成を担当するまでに成長。指導したスタッフが一人前になっていく様子を見ていると、達成感があってうれしいとのこと。「今後も常にお客様に何ができるかを考え、自分自身のサービスの質も向上させていきたいです」。そう言って業務に戻る彼の背中がとても頼もしく見えました。