入居者一人ひとりに寄り添って適切な介助を行う【介護老人福祉施設 シンフォニー】

高校卒業後に福祉施設での勤務経験があった山田さんは、20年ぶりに介護老人福祉施設に転職。勝手の違う環境に戸惑いながらも上司や先輩に支えられ、一人前のスタッフへと成長していきます。

販売業の事務員として20年間勤務してきた山田さんは、40歳の節目を機に転職を決意。介護老人福祉施設 シンフォニーで働くことになりました。「若いころから介護の仕事に就きたいという思いがありました。年齢的にもここで動かなければ次はないだろうと思ったんです。将来、母を介護する上でも、経験が役に立つだろうと転職しました」。

過去に1年間だけ介護施設で働いた経験を持つ山田さんでしたが、20年も前のこととあって業務についての記憶はほとんどゼロ。実際に働いてみたところ、初めて見聞きすることが多かったそうです。「施設のつくりも違いますし、業務の流れや入居者に用意されたプログラムも異なります。ほとんど右も左も分からない状態だったので、先輩と行動を共にしながら介助に必要なことをひたすら覚える毎日でした」。

食事や入浴、トイレなど、介助の方法はもちろんのこと、入居者一人ひとりの身体的特徴をメモに取り、何度も見返して業務を覚えていきました。

山田さんが配属されたユニットには、10名の高齢者が入居しています。食事や入浴など自分でほとんど行える人から、全面的に介助が必要な方までさまざま。日によって体調を崩す方もいるので、普段元気な方であっても、気を抜かず業務に集中します。「例えば食事では、誤えんや喉の詰まりに対して注意が必要です。サポートする時は相手の口元に注目し、しっかりと飲み込んだことを確認してから次の一口に移るようにしています」。

食事のペースは相手に合わせるのが基本。時にはむせてしまう方もいるそうですが、そんな時には背中をさすり、慌てずに対応します。また、入浴では単に体を洗うだけでなく、引っかき傷やぶつけた跡がないか、普段は隠れて見えない部分を確認することも忘れません。会話をする際も、元気がないなどいつもと違う印象を受けた時には、日誌に書き込んでスタッフ間で情報を共有するそうです。

こうした業務の中、山田さんが必ず行うのが声掛けです。「例えば寝ている方の向きを変える時、何も言わずに行えば危険ですしそもそも失礼です。『窓のほうに向きますよ』と伝えることで、安心・安全に体を動かすことができるんです」。

同施設の勤務時間には早番や夜勤などさまざまなパターンがあり、複数のスタッフがシフト制で対応します。前職では毎日同じ時間での勤務を続けてきた山田さんにとって、うまくなじめるか不安もあったそうですが、意外とすぐに慣れたとのこと。「体調を崩すようなことはありません。時間に対する感覚が敏感になり、出勤に備えるせいか、家にいることが多くなりましたね」。

この施設で働き始めて丸3年が経過。この間、特に大変だったと思うことはなく、頭で考え過ぎず体験することを重視したのが、結果的に良かったのではと振り返ります。「どれだけ本で勉強しても、生身の人間を相手にするので正解は一つではありません。その方に合わせた介助の仕方があると経験を通じて学びました」。

そんな彼女が現在目指しているのが介護福祉士の資格取得。資格の有無で介助への取り組みが変わるわけではありませんが、資格を取ることで自信が付くと思うと語る山田さん。3年間学んできたことの成果を形にしたいと、勉強にも力が入ります。