周りを助け、助けられ、互いに成長できる仕事【アサヒ警備保障株式会社】

昔からコミュニケーションが苦手だったという渡邊さん。短所から目をそらさず克服した結果、いろいろな人と関わりたいと思うようになります。現在はコミュニケーション能力が評価され、警備スタッフを取りまとめる業務課長として活躍しています。

友人や先輩の影響で車に興味がわいた渡邊さん。運転免許を取得する前に少しでも車に関わって知識を得たいと思い、ガソリンスタンドでアルバイトを始めます。「いざ働いてみると、車の知識以上に接客能力が大事なんだと気付かされました」。実は渡邊さん、人とコミュニケーションをとるのが苦手だったそう。お客様のほとんどが初対面で年上という緊張が続く中、苦手を克服するために接客に挑み続けることを決意します。どんな言葉を掛けようか、どうすれば印象が良くなるか、言葉遣いや会話の内容に気を付けながら対応しているうちに、接客スキルがみるみる向上。観光で美瑛を訪れた利用客へ地元の人だけが知る名所を教えて喜ばれるなど、アルバイトを通してすっかり接客が板についていました。

20歳の時、周りの友人が学校卒業と共に地元を離れる姿を見て「自分も新天地で別の仕事がしたい」と考えた渡邊さん。親の知人の紹介で現在の職場、アサヒ警備保障株式会社で1年半程働いた後、叔父の土木会社を手伝うために福島県へ渡ります。「あれを運転してくれ、この仕事をしてくれと、いろいろな頼まれごとをされるのですが、『できません』とは言わず、何事にもチャレンジすることを心掛けていました」。1年後、再びアサヒ警備保障へ戻ってからもこの時の経験が仕事に向き合う基礎になりました。

同社での主な業務は道路や建設現場での交通誘導で、工事現場ではドライバーや歩行者が安全に通行できるように状況を見極めながら誘導します。渡邊さんがこの仕事に就いて業務を覚えるより先にしたこと。それは先輩方の話し方や癖、性格を観察することでした。「タイミングや聞き方、誰に聞くと分かりやすく教えてもらえるかなど『教えてもらい方』によって理解度が変わってきます。分からないことは教え上手な先輩から聞くようにしていました」。時には先輩の家に泊まり込んで質問したこともあったそう。こうして試行錯誤を繰り返しながら、警備・誘導のいろはを習得していきました。

交通誘導で渡邊さんが心掛けていたのは「相手にどう見えるか」ということ。自分が分かっていても相手に理解してもらえないと意味がありません。例えば旗を大きく振ったり、大型トラックには旗の位置を高くして見せたりしましたね」。自身の振った旗がドライバーにしっかり見えているか、どのくらいの距離でどういった見え方をしているのか、雑な振り方に見えてはいないかなど、細かい部分にも気を配って誘導していました。

約10年間現場で誘導し、時にはリーダーとしての役割を担ってきた渡邊さん。5年程前から現場を離れ、現在は「管制」と呼ばれる業務を担当しています。スタッフをさまざまな現場に振り分けて派遣したり指示・注意事項を伝えたり、万が一トラブルがあればサポートを行う調整役です。各現場では複数名で業務を行うため、スタッフ同士の相性や経験年数なども考慮しながら人員を配置しているそう。そのために毎日一人ひとりとの会話を欠かさないと言います。「現場から戻ってきたら今日どんなことがあったのかを聞き、自分の感じたことを伝えています。そして後日どうなったか聞いてみる。会話の中でその方が抱えている問題や不満を引き出すようにしています」。こちらから聞くことで話しやすい状況を作り、日々会社や人間関係をより良い方向へ導き続ける渡邊さんです。