続けていれば自分の力になる。そう感じられる職場【株式会社シンワサービス】

専門学校へ進学し、一度は調理師の道を志した宮﨑さん。食に関わるさまざまな職場を経験する中で自分に合う働き方を考えるようになります。そうして巡り合ったのが、害虫駆除をメインに行う株式会社シンワサービスでした。

母親の手伝いを通して調理に興味を持った宮﨑さん。旭川市内の調理師専門学校に通い、知識と技術を身に付けます。卒業後は洋菓子店や旅館の厨房、中華料理店で腕を磨きますが、お客様がいる以上料理は時間との勝負。複数の作業を同時にこなさなければならないこの世界は、一つの作業に集中したい自分に向いていないのでは、と次第に思うようになったそうです。

そんな時、決まったルートを回る配送業に興味を持ち、ドライバーに転職します。「主に個人宅を回ってお弁当を届けていました。依頼主はお話し好きなご年配の方が多く、聞き役に徹することで関係を深めていきましたね」。また、宮﨑さんは事故を起こさないためというのはもちろん、お弁当の盛り付けが崩れてしまわないように安全な運転を心掛けていました。その後2年程続けたものの、今度は毎日同じルートを回ることに物足りなさを感じるようになったことから、再度転職を考えます。時間に追われず一つの作業に取り組めて、毎回違う現場で働く仕事、更には異業種から来た初心者でも受け入れてくれるところはないか。そんな職場を探す中で出合ったのが株式会社シンワサービスでした。

同社はビルやマンションの維持管理業務の中でも、害虫やネズミなどの駆除をメインに貯水槽や排水管、排気ダクトなどの清掃を行う会社です。入社当初の宮﨑さんは、すべてが未経験ゆえ分からないことだらけ。周りのスタッフによく質問し、こまめにメモを取ったり、先輩の作業を観察して知識を蓄積しながら体に染みこませるようにして覚えました。「最初は作業ミスや報告漏れ、言われたことができずに怒られることも多かったですが、完璧にできるようになるまで何度も聞くようにしていました」。怒られてもめげない気持ちと分からないことをそのままにしない姿勢が、宮﨑さんの成長につながっていきました。

害虫駆除は予備調査から始まり、お客様の話や現場の様子から生息場所や侵入箇所を特定。環境や規模などの状況に合わせて駆除の方法や使用する薬剤を選んでいきます。その後の経過も含めて何度か訪問し、現れなくなるまで徹底的に駆除する、という流れです。宮﨑さんが大切にしているのは「自分が虫だったらどう行動するか」と、昆虫の気持ちになって考えることだと言います。そのためには害虫ごとの生態を頭に入れておかなければなりません。「本を読んで知識を身に付けています。例えばアリであっても種類によって行動が違うこともあるので、それぞれの特性を覚えるようにしているんです」。覚えた知識を生かしてわなを仕掛けたり、薬剤を塗布したりしながら顧客が求める結果を求め、工夫を続けています。

清掃作業は先輩と組んで現場を回りますが、勉強中のため作業を終えるまでに時間がかかることも多いそう。ただ、そこで焦ってミスをしないよう丁寧に取り組むのが宮﨑さんの流儀です。「例えば排水管だと、シンクに水をためて流れ方を確認したり、においで詰まりの原因を判断したりするんです。高圧洗浄などを使って排水管内の詰まりのもとを除去し、お客様に納得していただける清掃を心掛けています」。慎重な性格ゆえ、今後の課題は作業スピードのアップだと言います。また、他にも苦手なことがあるそうで「作業内容や使用する薬剤、時間帯や範囲によって細かく作業料金が決められているのですが、金額を算出するのが得意ではありません。現在は上司や先輩に必ず確認をしていますが、少しずつ一人でもできるようになりたいです」。

成長するために、毎日少しでも学んだことを吸収している宮﨑さん。後輩ができた現在は、しっかりと教えられる先輩になりたいと考えています。「私が先輩から教わったことも継承していきたいですし、自分が感じたことも理解しやすく伝えていけたらと思っています」。作業も人間性も着実に成長を遂げ、一人前の作業員へ日々前進しています。