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私が選んだ職場【ごまそば鶴喜 末広店】

2022年2月21日公開

私が選んだ職場

実家がそば店を営む中本さんは、大学4年生の時に店を継ぐことを決めます。その後、世界旅行で見聞を広めたり修業を積む中でそばや実家への思いが強固なものに。現在は調理も接客もこなし、お店を支えています。

食を通して人に感動を与えられる場所。

専務取締役/中本吉彦さん(34歳)
旭川市出身。コーヒーが好きで、休みの日は自家焙煎の豆を求めてカフェを巡るのが趣味。

見聞を広めた世界旅行。そば職人の修業に励み家業を継ぐ。

小さいころから英語に興味があり、大学の外国語学部に進学した中本さん。一時は英語に関係する仕事に就こうと考えていましたが、大学4年生の時に実家のそば店を継ぐ決意をします。「家の仕事を手伝っていた姉が結婚して東京へ行き、次は自分が店を支える番だと思ったんです。父に話したところ、修業を始めるまで1年ほど猶予をもらえました」。これだけの時間があれば世界中に行けてしまうと、居酒屋に貼ってあったポスターに引かれ思い切って応募。中本さんは大学卒業後に世界一周の船旅へ出ることを決め、3カ月で19カ国を巡ります。「オマーンやイタリアなど、各国の郷土料理を食べる機会がありました。その中で食文化の面白さに気付き、そばを守り広めていきたいと強く思うようになったんです」。

旅から戻った中本さんは、東京の調理師専門学校で調理の基礎を習得します。昼はそば店でアルバイト、夜は専門学校に通う生活を続け、卒業後は昼間働いていたそば店に正社員として迎え入れられました。何でもやらせてくれる社長だったそうで、「入社初日からそばの打ち方を教えてもらえることになりました。ありがたいことではありましたが、料理界は厳しい世界ですから先輩職人たちの目が怖かったのを覚えています」。お客様から掛けていただく「おいしかったよ」という言葉や、残さず食べてもらえるうれしさを働く原動力に、約4年間修業に奮闘。20代のうちに実家に戻ろうと考えていた中本さんは、そば職人としての素養を身に付けて旭川に戻ることにしました。

動物を相手にするように食材を優しく扱う。

実家であるごまそば鶴喜 末広店に「帰ってきた」中本さん。早々に感じたのは、修業先との雰囲気の違いでした。ピリピリとした空気が張り詰め、厳しい目のあった前職の厨房とは打って変わって、ここは温かさを感じたそう。「私が小さいころから働いている従業員が多いこともあるのでしょう。戻ってきた実感が湧きましたね」。ただ、同じそば店でも天ぷらなどのトッピングやだしの取り方は店ごとに違いがあるため、仕事は一から覚えていく必要がありました。特に麺打ちは、そば屋の命とも言える繊細な作業です。その日の温度や湿度によって出来が変わってしまうため、水分量を細かく調節して日々同じ質のそばを提供し続けます。

そば打ちだけでなく、ほんの少しの違いで仕上がりが大きく変わってしまうのが調理の難しいところ。「そばは優しく扱わないと切れてしまいますし、天ぷらを揚げる時もゆっくり油に入れなければ奇麗な衣ができません。そのためいつも生き物だと思って作業しています」と中本さん。調理の技術を上達させるコツは「考えること」だと話します。水の量を増やしてみたら、天ぷら粉をもう少し足してみたら良くなるかもしれない…と、常に完成形を意識して試行錯誤を重ねていくことが成長につながるようです。

従業員は最後の調味料。また来たいと思える接客を心掛ける。

調理だけでなく、接客も中本さんの担当です。ホールでは厨房の作業とは別のスキルが必要になります。お客様が手を挙げる前にオーダーを取りに行き、求められる前にお水のおかわりを注ぎに行くのが中本さん流の接客スタイル。「例えばメニューを閉じる様子や顔の表情に注目するなど、お客様が何を求めているのか常に気にしていますね」。また、「どれだけおいしいそばをお出ししたとしても、接客が良くなければ『また来たい』と思ってもらえません。私は、最後の調味料は従業員だという思いでいつも接しています」。そういった気遣いが伝わるのか、毎日のように来店する常連の方や「中本さんに会いに来ました」というお客様もいるとのこと。自身のそんな経験を生かすべく他の従業員にも細やかな接客を指導しているそうです。

「おいしかった」「ありがとう」と言って喜んで帰るお客様の姿にやりがいを感じる中本さんに、今後の目標について伺いました。「自分の力でもう1店舗、できれば創業店のあった、さんろく街に出してみたいですね。また、カフェやコインランドリーなどいろいろなことが楽しめる場所にも、いつかお店を出してみたいと考えています」。目標に向かっておいしいそばを作り続ける中本さんです。

  • 注文を受ける際も笑顔で接している中本さん

  • そばが切れないように優しく扱い、釜に入れていく

  • 丁寧にだしを取った返しは、そばと並ぶお店の要

一つひとつクリアして徐々に成長を。

当店は30〜70代までが働いていて、アットホームな雰囲気が特徴です。この仕事の魅力は、年齢に関係なく、国境を超えて愛される食べ物を提供できること。ホールは明るくて元気な方、調理は几帳面な方が向いていると思っていますが、どんな人でも努力次第です。未経験の方は初歩的なところから一つひとつ段階を踏むように成長していただければと思います。

ごまそば鶴喜 末広店

1980年にさんろく街で創業。その後1992年に末広店をオープンし、現在は美瑛店との2店舗を運営。「そばせんべい」や「そばかすていら」など、そばを使った菓子類も販売している。

北海道旭川市末広4条3丁目5‐13
TEL.0166‐51‐0755
https://gomasoba-tsuruki.com/