私が選んだ職場【株式会社Re-project】

知人の紹介から電気工事士になった坂田さんは、現場で電気工事の基礎を身に付けてきました。その後、資格を生かしながら、よりお客様と接する機会の多い職場を求め、たどり着いたのが、家電の取り付け工事を行う現在の職場でした。

高校卒業後、ラーメン店や建築業などさまざまな仕事を経験してきた坂田さん。ある時、知人から電気工事を行う職場を紹介されます。資格を持っていない坂田さんは、工事の際に配線作業補助として先輩をサポート。日々の業務をこなしながら、一から電気工事のいろはを学んでいきます。「基礎すら分からない状態だったので、本を読んだり、先輩から現場で教えてもらったりして勉強しました」。半年間をかけて図面の読み方を覚えながら、少しずつ知識を蓄積。入社から一年後には念願の電気工事士の資格を取得します。
晴れて実務に携われるようになった坂田さんは、求められる作業スピードに四苦八苦しながらも業務に取り組んでいきます。「新築などで自分が配線を担当した部分の照明が正常に点くと、達成感がありました。家主から『ありがとう』と言われる度、やって良かったなとうれしくなりましたね」。少しずつやりがいを実感できるようになった一方で、失敗から学ぶこともあったそうです。新築の現場で大工さんとのコミュニケーションが足りず、作業がスムーズに進まなかったことがあり、その経験から会話による確認の重要性を知ったと言います。

その後、転職でステップアップを重ねる中で、「これまでの経験を生かしながら、もっとお客様と接する機会のある職場で働きたい」と職種を見直し、たどり着いたのが現在の会社でした。主な仕事は、家電量販店で販売している冷蔵庫や洗濯機、エアコン、ストーブなどの配送と取り付け工事です。「やることが多く大変そうな印象でしたが、楽しみでわくわくもしていました。作業の進め方は先輩方が丁寧に教えてくれましたし、人間関係にも恵まれていたと思います」と入社当時を振り返ります。未経験だった水回りの作業をはじめ設置工事には勉強になることが多く、先輩や上司に教わりながら少しずつ経験値を積み上げました。
坂田さんが作業中に意識しているのは、「見栄え」です。美観を重視するお客様は多いため、傷を付けないよう慎重に取り付けたり、水平や並行を保って設置できているかなど、細かい部分まで配慮しているそう。また、前職の経験が存分に生きる場面として、エアコンの設置があります。設置時にはコンセントの工事を行うこともあり、率先して作業するなどリーダーシップを発揮し、持ち前の技術を生かしながら職場に必要な存在となっていきました。

普段は2人1組でお客様の自宅へ赴いて、家電の取り付け工事を行います。効率良く作業するためにも、仕事に主体的に取り組むためにも、取り付けをしながらのコミュニケーションは欠かせません。前職での反省を踏まえて、先輩のちょっとした気遣いにもしっかり「ありがとうございます」と感謝の気持ちを口にしていました。また、お客様とのコミュニケーションでも心掛けていることがあると言います。「お客様と話す時には、相手の表情や声のトーンに注意しています。ささいな反応から判断して話し方などを意識的に変えることもあるんです」。以前は相手の立場になって考えることが少なかったそうですが、多くのお客様と接することで、自分の内面に少しずつ変化が生まれてきたようです。
そんな坂田さんの目標は、「一人で何でもできるようになること」。さまざまな経験を通して知識と技術を積み上げ続けることが今後の課題だと話します。水回りなど経験の少ない作業のノウハウを蓄積するため、車に積んだ家電と共に今日も新たな現場へ向かいます。