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新感覚の「角打ち」で日本酒の楽しみ方を提案魅力を伝え、飲む人を増やしたい【和酒角打 うえ田舎】

2023年8月28日公開

私が選んだ職場

旭川市の顔である平和通買物公園に面した、おしゃれな酒屋さん「うえ田舎」。手前のスペースにはショップが、奥には隠れ家のような、角打ち用の立ち飲みスペースがあります。長谷川さんは下戸ながらこのお店を切り盛りし、日本酒の奥深さを発信しています。

店長・マネジャー/長谷川 颯さん(25歳)
旭川市出身。昨年6月にアルバイトとして「株式会社うえ田」に採用、その後正社員に。好きな言葉は植松努さんの「思うは招く」。

無縁と思っていた業界でカフェ経験が生きた。

長谷川さんは旭川市内の高校を出て、自動車整備の専門学校に進みました。しかし半年で中退し、東京都内の大学へ。「カリキュラムをこなすのではなく、興味のあることを深掘りしたくなりました」と当時を語ります。

そして、若者が多い吉祥寺のカフェでアルバイトを始めました。ここでの3年半が、コミュニケーションに自信がなかった長谷川さんを変えることになります。「カフェに来るお客様は何が欲しいか決まっている人も、自分でも分からない人もいます。こちらが一方的に勧めるのではなく一人ひとりに向き合い、観察し、何を求めているか考えるようになりました」。今も生きる仕事術が備わりました。

その後都内で就職活動を始めた長谷川さんですが、思うように進まなかったため旭川に戻ると、母親を通じて株式会社うえ田の求人情報が舞い込みました。無縁と思っていた業界。それでも、カフェでのアルバイト経験から「お酒の知識以外で補えるものがある。お酒は少しずつ勉強しよう」と前向きに考えたのだとか。

店内は木の温もりが印象的な、洗練された雰囲気。実は体質的にお酒が得意でないという長谷川さんも、「深夜までハードに働く居酒屋は難しくても、落ち着いたうえ田舎なら頑張れそうだ」と、徐々に店になじんでいきました。

社長の誘いで社員になり、若くして重責を背負った。

昨年6月にアルバイトとして採用された長谷川さん。就職活動も並行し、同年10月末に都内のベンチャー企業から内定をもらいましたが、うえ田の上田桂輔社長に「うちでも多くのチャレンジができる。社員として働かないか」と誘われました。悩むこと数日。目の前の仕事に可能性を感じ、翌11月、社員になる道を選びます。

間もなく店長・マネジャーを任されましたが、発注や準備のミスで痛い目に遭った経験もあります。「同じポジションの人が他にいない重責を痛感しました。自分を過信せず、すべきことを洗い出し、本社の人にもチェックをお願いするようにしています」とのこと。

普段の仕事は午後1時に始まります。お酒を得意先へ手配したり、ショップのレジ対応をしたりするうちに、あっという間に角打ちオープンの午後4時に。午後9時まで、カウンター越しにさかなを提供したり、お勧めのお酒を出したりと接客します。

8人のスタッフに伝えるのは「分からないことは必ず私に聞いてほしい」ということ。「全国の酒蔵から預かった大切なお酒について、中途半端にお客様に伝えることはできません。作り手の期待に応えるため、お客様の質問にはスタッフがその場ですぐ答えるよう徹底しています」と力を込めます。

多くの人と出会って成長。チャンスに限りはない。

奥が深い日本酒の世界。下戸の長谷川さんがスキルアップできたのはなぜでしょうか。聞けば、少量でも自分の舌で感じる経験を積むこと、知識を積極的に吸収することに加え、飲み手への「伝え方」の訓練が肝だそう。例えば、日本酒ではよく「辛い」という表現が使われますが、これは長谷川さんにとって難しい言葉。水のようなスッキリ感を指す人や、酸の刺激のことを言う人もいて、同じ言葉でも人によって捉え方があいまいだからです。そのため辛さに関する知識と、お客様の好みや経験とをすり合わせて提案するといいます。長谷川さんは「お勧めして、『うまい!』と気に入ってくれたら本当にうれしいですね」と笑います。

長谷川さんの仕事は接客の他、蔵元を招いた催しを企画し、日本酒イベントの手伝いで出張するなど多岐にわたります。多くの人と出会い、成長を実感しているとのこと。

コロナ禍を経た同店では今、外国人を含め大勢の観光客に、日本酒の魅力を伝えています。今年からは、搾りたての鮮度を保てる樽での提供に道内で初挑戦。店舗拡大も狙っています。「おいしいお酒に出合うチャンスは無限に作れます。料理との合わせ方や酒器選びなど、多彩な楽しみ方を体験できる角打ちとして伝える技術を磨き、日本酒を楽しむ人を増やすのが目標です」と長谷川さん。活躍のフィールドは広がるばかりです。

  • 角打ちスペースの冷蔵庫から、厳選した全国各地のお酒を紹介する

  • パソコンに向かい、日本酒の入荷やイベントの情報をSNSで発信する

  • 買物公園50周年を記念した「うえ田舎」オリジナルの日本酒を注ぐ

日本酒を学ぶ機会を豊富に用意。店舗増へ新たなチャレンジも。

株式会社うえ田 代表取締役/上田桂輔さん

角打ちのお客様は女性が多く、日本酒になじみがない方も楽しまれています。顧客満足度を上げるのは、店員の適切な説明や提案です。知識ゼロからでも接客できるよう、当社には試飲会など学ぶ機会が多くあります。長谷川さんに店を任せてから、私も販路拡大や新たな挑戦ができています。今後は店舗を増やし、新感覚の日本酒体験を広めたいです。

和酒角打 うえ田舎

2019年7月オープン。「旭川から新しい和酒の愉しみ方をご提案」をテーマに、厳選した日本酒と北海道産の食材にこだわったさかなを提供する。店舗のエントランス側は物販、奥に立ち飲みスペースがある。

北海道旭川市4条通8丁目1703‐91 十字屋ビル1階
TEL.0166‐25‐8222
https://sake-ueda.com/