5年ぶりの仕事復帰。子育てとの両立も安心で、充実の毎日になりました【CHINESE DINING 暖龍】

ホテルやケーキ店での勤務経験から、人と接する楽しさを知った川口さん。出産後は育児に専念していましたが、中華料理店で新しいキャリアを始めました。小さな子どもがいても働きやすい職場で働き始めて半年。私生活にも活気が出てきました。

ショッピングモール内の人気店でてきぱきとお客様をもてなす川口さん。「接客が一番好きです」と目を輝かせる原点は、商業高校を出て勤務したホテルにありました。

就職先を探していた時、「パソコンの前に座る仕事は向いていないかな」と、接客業を選択。職場は札幌の奥座敷・定山渓温泉にあるホテルで、料理を提供するスタッフとして採用されました。そこで接客した1人のお客様からお礼の手紙を受け取ったそうです。「常連の方だったのですがとても喜んでいただき、何度か手紙をやりとりする中で自信になりました。この仕事のお陰で、人と接するのが楽しいと思えました」と振り返ります。高校生の時は人見知りだったので、大きな変化でした。

ホテルで6年半働いた後、憧れのあったケーキ店へ転職。「若かったこともあり、どうしても違うことがしたくなりました」と笑います。お客様の「おいしかったよ」にやりがいを感じる2年半でしたが、やがて結婚を意識し、新しい働き方を模索。「年を重ねても融通が利きそう」と医療事務に挑戦し、出産前まで薬局に2年間勤めました。

その後、家族で札幌から旭川へ引っ越し。しばらく育児に集中していましたが、「家庭とは違う環境で何かしたい」という思いが募り、シゴトガイドなどで職場を探し始めました。

職種は好きな接客で迷わなかったものの、職場に求める条件はかつてと違いました。以前は興味や好みで探していましたが、幼稚園に通うお子さんの送迎バスの時間に合わせることが第一になりました。

そんな中で目に留まったのが、何度も利用していた暖龍でした。川口さんの頭をかつて店頭で見た心温まる光景が過ぎります。「レジの方がお菓子のつかみ取りの箱を笑顔で差し出し、お子さんがニコニコして帰っていました。それを見て『ああ、いいなあ』と感じたことを思い出したんです」。

応募をして迎えた面接当日。子育ての事情を聞いた店長に「大丈夫ですよ」と言われ、心強かったといいます。勤務は余裕を持たせて10時半スタートとし、14時までのシフトを選びました。

5年ぶりの仕事復帰にも、あまり不安はなかったといいます。「研修ではテーブルのセットだけを教わる日、お水を注ぐだけの日など、1つずつ覚えてから次に進むので安心できました」。ただ、中華料理店は初めてで、料理の運び方に苦労することもあったそう。麺類の入った重めの器を、先輩は片手に1つずつ持って運ぶほど忙しくても、自分は両手で1つ運ぶので精いっぱい。ある時スープをこぼしてしまい、先輩に「どうしたらこぼさないですか？」と聞くと、バランスの良い持ち方を丁寧に教えてくれ、コツをつかむことができました。

同店で働いてから、私生活にも変化が訪れました。「家で1人家事をするより働いているほうが好きなので、元気になりました」と笑う川口さん。充実し、活力ある毎日になりました。「子どもへの接し方は良くなったかな」とも感じています。賄いは自宅に持ち帰り、お弁当を作る手間を省けます。

小さなお子さんがいる以上、急な欠勤や早退は常に気になるものです。川口さんにも経験はありますが、周囲の心遣いに救われたといいます。「休んだ後、皆さんに『すみませんでした』と言うと『大丈夫です、むしろ大丈夫ですか？』と気に掛けてくださいました。うれしかったですね」。この温かさが、何よりのサポートになっています。

入社して半年以上が経ちました。開店前の準備から席への案内、オーダー取り、料理の提供、片付け、会計まで一通りこなせるようになりましたが、まだまだ追いつけない背中があります。素早く判断し、細かく目を配って先回りする店長の谷野さんです。川口さんはその姿に触発され、フロア全体に目を凝らし、いち早く気付く力をつけたいといいます。「忙しいランチタイムでもお客様を待たせないようにしたいです」と、スキルアップに向けて余念がありません。