さまざまな立場の人が集い、地域とつながっていく【共生型地域密着デイ匠家】

高齢者、障がい者、認知症という異なるタイプの方々が利用する中、どのようなサポートを行っているのでしょうか。同施設では利用者の自主性を大切にしているため、スタッフは〝お世話をしない〟

〝奪わない〟〝相手のペースに合わせて待つ〟の3つを守り、必要最小限のサポートにとどめています。「良かれと思って手を出してしまうと、自主性を奪うことになり、その結果自発的な行動が減ってしまいます。相手の意思を尊重して、仮に失敗したとしても見守ることが大事なんです」と高木さん。未経験の方には「介助しなければいけない」というプレッシャーの軽減につながります。

スタッフは生活相談員・理学療法士・看護師・介護・調理・送迎・事務と、それぞれ分担しながら働いています。「役割を分けることでそれぞれの業務に余裕が生まれ、利用者さん一人ひとりに寄り添えるのが強みですね。忙しく動き回ることが多く、コミュニケーションをしっかり取れないと悩む介護経験者に合っている職場だと思います」。キッチンに目を向けると、スタッフと共に料理を作る利用者の姿が。介護というより共同生活をしているかのようです。

一方でスタッフへのサポートについて尋ねてみました。「月に1度、スタッフ全員でミーティングを行っています。仕事の課題や気になる利用者さんの情報を共有して、ケアの方向性を確認したり、みんなが学びたいことを優先し、研修を実施しています」。また、未経験、無資格で仕事を始めた方については、資格取得を金銭面でサポートしています。「介護福祉士を取得したら次はケアマネジャーと、常に学んでもらいたいですね。すると、それまでの指示の意図が見えてきますから」。意欲ある成長を、陰ながら支えています。

同施設では「地域とともに歩む」をモットーに、地域に根差すための取り組みを行っており、近所の住民と交流を重ねています。「目指しているのは、お互いに支え合う地域づくりです。例えば防犯や災害時に声を掛け合えるように、普段から顔の見える関係性を築いています」。近所との関係は良好で、同じ町内会の方々が声を掛け合い、毎日数人がボランティアとして訪れます。畑や庭の整備、マージャンや爪ケアなど、近所の方もまた、得意なことを生かして関わってくれているそうです。スタッフ、利用者、ボランティア。地域の絆でつながったこの場所からは、今日も楽しげな声が聞こえてきます。