気になる職場【中村印刷株式会社】

市役所などの印刷物を手掛ける、旭川の老舗企業「中村印刷株式会社」。最近新しい設備を導入したという同社を訪ね、お話を伺いました。

祖父、父より会社を受け継ぎ3代目として20年社長を務める中村さんに、同社を運営していくうえで大切にしていることを聞いてみました。「当社では、就業規則の最初に『利他の精神を持とう』とうたっています。例えばお客様や同僚に対して思いやりの心を持って、自分より相手を優先して考えましょう、というのが大原則です」と中村さん。相手を思うことは良好な人間関係を築く要因の一つになり、働きやすさにもつながるといいます。ギスギスした空気でいがみ合いながら働くか、和気あいあいと楽しく働くか。「大変か楽かでいえば、仕事は大変なものです。だから、少しでもリラックスしてそこに臨めるよう、仲間とコミュニケーションがとれる職場環境をつくることが、いずれ良い仕事として自分に返ってくるでしょう」。
また、併せて大切にしているのが、健康です。社長自身が子どものころ病弱だったことから、誰よりも健康の尊さを知っています。「健康状態が良くないと仕事のパフォーマンスにも影響が出ます。例えばポリープがあることが分かって、良性か悪性か判明するまでに1週間かかるとしたら、その間は気が気じゃなくて仕事に集中できませんよね」。社員の健康管理についてはうるさいくらいに指導し、インフルエンザの予防接種も奨励しているそうです。

社内の環境整備について尋ねると、5月に導入したばかりだという、新しい設備についてお話ししてくれました。「封入封緘機といって、案内文書などを封筒に入れて糊付けまでを自動で行う機械です。直接印刷に関わるものではないのですが、作業効率が格段に上がりました」。昨年同社は、新型コロナウイルスによる経済対策として市が発行するプレミアム商品券や、案内文書などの印刷を請け負いました。その際に困ったのが、封入封緘の作業。すべて手作業で行ったため、社員総動員でも2カ月近くかかったのだとか。そこで秋に東京のメーカーへ出向き、機械を使えば何日でできる作業だったのかを尋ねてみたところ、「3、4日でできる」との回答に驚いた中村社長。即座に封入封緘機の導入を決めたと言います。この先、何十万通にもなる一般向けワクチン接種の案内印刷と封入の予定があるため、最大限に効果を発揮してくれそうです。
7年後に創業100年を迎える同社の今後の目標について、中村社長はこう話します。「社員や市民、どちらの視点からも魅力ある会社にしたい。そのためには、印刷以外のこともやっているような特徴を持つ必要があると思っています。110年120年と続いていく会社になるために次の社長には頑張ってもらわないと」。笑顔で将来を見据えるそのまなざしには、力強い光がたたえられていました。